ものもの暮らし

何気ない日常について

話しかける勇気が

 

年末の買い出しに行った。

まあまあの人出。

 

信号待ちをしていたら、自分の前に白髪交じりのおじさんが立っていた。

年齢を感じさせない、黄緑色のダウン。ナイキのスニーカー。

おしゃれだと思った。

 

 

 

 

少しして、ん?と思った。

 

背中の腰のあたりに赤い透明なボタンのようなものがついている。

なんだ?ダウンに穴が開いてしまっておしゃれなボタンで補修しているのだろうか。

そんなはず・・・ないよな。

 

 

気になったので、ちょっとだけ近づいてみる。

 

 

飴だった。

一粒の飴がくっついていた。

夕日を反射して、キラキラと輝いていた。

綺麗だ。

 

感動している場合ではない。

信号が変わるタイムリミットまであとわずか。

 

しかし、、、値札ならともかく、飴つけてる人ってなかなか見かけないな。

家で子供が付けちゃったのか。

想像を膨らませる一方で悩んだ。

 

「あのー、背中に飴付いてますよ」

言うべきか、言わざるべきか。

 

赤の他人にいきなり指摘されてきっと驚くだろうし、

何より恥ずかしい思いをさせてしまう。

信号待ちをしている周りの人間にも知られてしまうだろう。

 

 

うーん・・・。

 

考えているうちに信号が変わった。

おじさんはすたすたと渡っていく。

 

 

 

・・・・・

 

 

言えなかった。

ごめんねおじさん・・・よいお年を・・・。

 

 

そう心の中でつぶやいた。

 

 

知らない人に話しかけるのって苦手だ。

知っている人に町で会うのも苦手だ。

そもそも人と話すのが苦手だ。もうだめだ。

 

 

来年の目標ができた。

 

背中に飴をつけている人がいたら、そっと話しかけて、そっと取る。

 

 

よし。

できるだけ頑張ろう。